むかし相原というところに「外の御前」と呼ばれるところがありました。
何をおまつりしたものか、その由来はよくわかりませんが、かつては社殿が建っていました。明治の初めの頃です。
その社殿の柱とか板が少しづつなくなっていくのに村人が気づき、おかしなことがるものだと、みんなで集まって相談しました。
そしてひと晩寝ないでようすを見ることにしました。
真夜中ごろでした。一匹の大蛇がどこからともなく現れました。
全身真っ白です。
音も立てずに社殿の垂木を一本くわえると、どこへともなくはって行くのです。
村人は恐ろしさにふるえながら、跡をつけていきました。
白い大蛇は部落をはずれ、清兵衛新田のところにでました。
そこには鎮守としてまつってある氷川神社がありました。
見ると、草陰に空き地があり、建物の柱や板がきれいに積まれていまた。
村人たちは、これは神様が「外の御前の社殿を氷川神社に移したい」と言ってるのだと話し合い、神社の建物を清兵衛新田に移すことにしたのだそうです。
文・絵:いちむら あきら
座間美都治
相模原民話伝説集より