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見つめ入道


 市内を流れる鳩川をご存知ですね。その鳩川の水源は上九沢の横山下にあります。
 水源周囲は鳩川谷といって、見事な竹林がうっそうと生い茂っていました。
 鳩川を少し下った所に相鉄線番田駅があります。駅に東側に「いま橋」という橋があります。
 むかし、この橋の辺りに「見つめ入道」というお化けが出たそうです。
 みつめ入道は普通は目が三つある「みつめ入道」のことをいいますが、ここのは、そこを通る人をじっと見つめる「見つめ入道」でした。
 ある晩、権兵衛じいさんが、隣の村で婚礼があって、その帰り道、ほろ酔い気分で「いま橋」を渡っていました。
どうも先ほどから、首筋の辺りに、何かぞくぞくとするような冷たいものを感じるのです。権兵衛じいさんは何度か手で首筋を撫でてみましたが、冷たい感じはとれません。そこで何気なく後ろをふり返りました。
「わ、わ、わ、……」
 権兵衛じいさんは大きな声を出そうとしても声が出ません。ただびっくりして腰を抜かしてしまいました。見つめ入道がでっかい目をむいて、じっと見つめていたのです。
 権兵衛じいさんは四つんばいになって、ほうほうの態で家にたどり着きました。
 手にしていた、おみやげのごちそうの包みは、いつの間にかどこかに消えていました。
 どうやら、その辺りに棲む狸のいたずらのようです。

文・絵:いちむら あきら
座間美都治
相模原民話伝説集より