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あばれ神輿


  「お祭りに神輿がないんだ!」
「ばかな、そんなとこあるの?」
「じょうだんも休み休み言えよ!」
なんて言われそうですが、実はあるんです。しかもこの相模原に!  そこは下溝の鎮守の八幡さまです。
  秋は収穫期。豊年満作を祝って各地の鎮守の森は祭りで沸き立ちます。その祭りの中心はなんと行ってもお神輿です。わっしょいわっしょいの勇ましい掛け声で練りまわる姿は、担ぐ方はもとより見る方も血が騒ぎ、祭りの興奮は頂点に達するわけです。  その神輿が祭りにないというわけですから何か訳がありそうです。土地の古老が話してくれました。
  「いやいや、八幡さまにも昔はちゃんとお神輿がありましたよ。しかしどういうわけか上庭のお諏訪さまと仲が悪くてね、あそこまで担いでいくと急にお神輿があばれだして、どうにも手のつけようがなかったんだ。そのあばれ方はじんじょうではなくて、家の軒先や垣根は壊す、見物客を巻き添えにして多くのけが人が出る始末。それが一年だけじゃなくて毎年のこととなって、とうとうお神輿は鳥居の辺りに埋められてしまったんじゃ」

絵:いちむら あきら
編纂:座間美都治
相模原民話伝説集より